避難所でのトイレ お年寄り、子供に配慮
多くの人が共同生活を送る避難所。トイレの利用にあたっては、ルールを作ったり、お年寄りに声かけをしたりすることが必要という
■水の有無チェックし対応
東日本大震災では、多くの人が避難所生活を強いられている。共同生活を送る避難所では、食料、飲料水、暖房などの確保だけでなく、健康面、衛生面からトイレも切実な問題だ。長く使えるよう清潔に利用するのはもちろん、お年寄りや子供など災害弱者に配慮した利用方法を考えるのが重要だ。(森本昌彦)
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◆感染症の原因に
避難所では、多くの人が限られた数のトイレを使わざるを得ない。このため、中にはトイレを我慢するため、水分摂取を控える人もいる。だが、トイレ環境の改善などをテーマに活動するNPO法人「日本トイレ研究所」(東京都港区)の代表理事、加藤篤さんは「脱水症状になったり、体力が落ちて感染症の原因にもなったりする」と話す。
清潔にトイレを使用しないと、感染症の原因となるのに加え、共同生活の場で不快な臭いのもとになる。健康、衛生の両面から、避難所でのトイレ利用をどう行うかは非常に重要な問題という。
避難所でトイレを使用する際の注意点として、加藤さんは「まず水が出るかどうかを確認してほしい」と話す。水が出る▽水は出ないが周囲に水がある▽水が出ず、周囲に水がない-の3つのケースによって対応が分かれるからだ。
水が出る場合は、そのまま使用すればいい。しかし、配水管などから屎尿(しにょう)が漏れていないかをチェックする必要がある。水は出ないがプールや井戸など周囲に水があるケースでは、使用後にバケツなどに入れた水で流す。ただ、配水管が詰まるのを防ぐため、使用済みトイレットペーパーは流さず、段ボールやポリ袋に入れて分別したほうがいいという。
◆利用ルールを
水が出ないうえ、周囲に水がない場合は、トイレを清潔に保つため、一工夫が必要だ。ポリ袋を便器の中に入れ、便座部分をポリ袋で覆う。袋の中には、くしゃくしゃにした新聞紙(4ページ分)を便器の形に合わせて入れ、用を済ます。
新聞紙を入れるのは、水分が多い排泄(はいせつ)物をしみこませるため。使用後はポリ袋ごときつく縛り、臭いが避難所内に広がらないよう、生活空間から離れた場所に保管する。和式便器でも同じ要領で、ポリ袋の中に新聞紙を入れて用を済ますことができる。
屋外に設置される仮設トイレについて、加藤さんは「ほとんどのタイプはくみ取り式で、あっという間に容量がいっぱいになる。長持ちさせる方法を考える必要がある」と話す。
具体的には、トイレットペーパーは分別し、大便がピラミッド状に積み上がった際に棒などで崩し、かさを減らす。くみ取りがどれぐらいの割合で必要かも行政に伝えたほうがいいという。
さらに避難所を運営する人がトイレの利用ルールを作成し、お年寄りや障害者、子供などが室内のトイレを優先的に使えるようにしたり、トイレを我慢しがちなお年寄りに声かけをしたりするのがいいという。
加藤さんは「トイレの問題はどうしても話題から外れがちで、支援物資の中でおしり拭きなどトイレに関連する物品は忘れられやすい。トイレの問題に対する意識を高めてほしい」と呼びかけている。
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■避難所のトイレで気をつけたいポイント
・トイレを我慢しない。
・水分や食事をしっかりとる。
・お年寄りに声をかけ、トイレに付き添う。
・建物内のトイレ利用は、高齢者、障害者、女性、子供を優先する。
・おむつ、人工肛門などの交換スペースを確保する。
・便座が冷たい場合は、カバーをするなど工夫する。
・外国人にも配慮し、使用方法などを掲示する。
・トイレ掃除を徹底し、清潔で安心できる明るいトイレ環境をつくる。
(日本トイレ研究所の資料を基に作成)
避難所でのトイレでの注意点(産経ニュースより)
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